フィギュア撮影ブースの作り方を紹介します。

撮影ブースを自作するメリット
撮影ブースを自作するメリットは、好きな背景紙で自由にライティングを組めることです。
ですから、もし下記の条件を満たしている撮影ブースが販売されているなら、自作する必要はありません。
- ライティング(照明の数・位置・高さ・角度)を自由に変えられる
- 大きなスケールフィギュアも収まる
- 背景紙を自由に変えられる
と言っても、僕の知る限りこんな便利な撮影ブースは販売されていないので、自分のイメージした写真が撮りたいなら、自作するのが一番です(中途半端な撮影ブースを購入すると間違いなく失敗する)。
但し、撮影ブースを自作したからといって、必ずしも自分のイメージした写真が撮れる訳ではありません。撮影ブースはあくまで準備段階です。ここからライティングの試行錯誤が必要です。
自作撮影ブースに必要なもの
スケールフィギュアを撮影する時に使う背景紙は、全紙サイズ「788mm×1,091mm」が一般的です。
また、三脚(カメラ)を置くスペースや照明のスペースを考慮すると、全体で「横幅約1m x 奥行き約2m」の撮影スペースが必要になります(逆光を使いたい場合は更に奥行きが必要)。
僕は作業用デスクを使っていますが、全紙をセットできればなんでも構いません。ただ、床置きは煽り撮影(被写体を下から上に撮影)ができないので、少し高さのある台やテーブルがおすすめです。
背景紙
背景に余計な物が写らない様に使います。
レビューサイトではレザックが人気です(グッドスマイルカンパニーやホビージャパン等、メーカーのデコマス写真にも使われている)。薄いタイプは折り目が付きやすいので、全紙サイズ「788mm×1,091mm」で、厚さ「260kg(0.32mm)」がおすすめです。
楽天市場の紙屋の丸楽、Amazonの紙屋の丸楽で購入できます。
レビューサイトでは、色被りが少なく柔らかい印象になるアトモスもよく使われています。
また、高級感があって反射が目立たない羊皮紙も使いやすいのでおすすめです。
どれも1枚数百円程度なので、余裕があれば複数バリエーションを用意しておくと撮影が楽しくなります。
使わない時は、折り目が付かない様に大事に保管しておいて下さい。


メッシュパネル
背景紙の固定に使います。
僕は高さ調整ができるハンガーラックにメッシュパネルを固定して使っています。
背景紙を固定できればなんでも構いません。綺麗に剥がせるマスキングテープでもOKです。ただ、メッシュパネルを使えば、クリップで簡単に固定できますし、微妙な角度調整もできるのでおすすめです。

照明
照明の「高さ」「角度」「距離」によって、被写体のイメージはガラッと変わります。
ライティングは撮影で一番差の出る部分ですから、高さと角度を自由に調整できる照明がおすすめです。
レビューサイトでは、Z-LIGHTやRIFAがよく使われています。
この際、これからフィギュア撮影を始めたい方が知りたいのは、照明はいくつ必要なのか?だと思いますが、必要な照明の数なんて決まっていません。ただ全体を明るくしたいだけなら、レフ版とディフューザーを使えば照明は1つで十分です。ですが、強調したい部分がある及びアクセントを入れたい時は、2灯、3灯必要になります。
また、複数照明を使う時は、電球の色温度を統一して、できるだけ演色性が高いものを選んで下さい。演色性が低いと発色が悪くなりますし、色温度の違う電球を混ぜるとホワイトバランスが綺麗にとれなくなります。
僕は「昼白色」「高演色Ra90」のLED電球「キレイ色」を使っていました(現在は生産終了)。



レフ版
光源の反対側に置いて光を反射させ、影を明るくするために使います。
僕はデコパネ紙貼白を使っていますが、段ボールにコピー用紙等を貼って代用することもできます。また、映り込み防止や背景を暗くする際にデコパネ ブラック
を使うこともあります。
レフ版の効果は下記の写真で比較してみて下さい。
左はレフ版なし、右はレフ版ありの写真です。どちらも「RIFA-F40×40cm」1灯で撮影しました。


影がきついと感じた時は、照明を増やす前にレフ版を使って下さい(2~3個持っておくと便利)。

※ホームセンターなら500円前後で購入できます。

ディフューザー
固い光をやわらかく&拡散させ、きつい影やきついハイライトができない様にします。
ちなみに、ディフューザーの効果は被写体&光源からの距離に大きく影響します。トレーシングペーパーを光源近くで何枚も重ねるぐらいなら、光源から離して被写体に近づけた方が効果は高くなります。
僕は固定しやすいアクリサンデー板 乳白半透明を使っていますが、安くすませたいならトレーシングペーパー
やスーパーのレジ袋でも代用できます。
ディフューザーの効果は下記の写真で比較してみて下さい。
左はディフューザーなし、右はディフューザーありの写真です。どちらも「Z-LIGHT」1灯で撮影しました。


ディフューザーを使うと、きつい影やハイライトがなくなり、全体的に柔らかい印象になったのが分かると思います。また、暗かった部分にも光が回り込んでいます。

どっちもクリップ 強力タイプ
ディフューザーやレフ版の固定に使います。2、3個持っておくと便利です。
また、背景紙を固定する大きな万能クリップもあると便利です。

最後に
いろいろ紹介しましたが、絶対必要なのは撮影スペースだけです。
代用できる物があればわざわざ購入する必要はありません。また、ライトバンク「RIFA」は、自由に位置・高さ・角度を変えられるので便利なのですが、ライティングのパターンが決まれば「Z-LIGHT」とディフューザーでも代用できます。後は必要だと思う物を購入して下さい。
ハーバリウムや造花等の小物を使って撮影しても楽しいと思います。





コメント
コメント一覧 (10件)
使っているカメラを教えて下さい!!
既に手放しているのですが、当時使っていたのは「Nikon D5300」と「AF-S Micro 60mm f/2.8G ED」です。
ただ、「Nikon D5300」でフィギュア撮影はあまりお勧めしません。
僕には説明できるだけの知識がなくて申し訳ないのですが、2014年以前のNikonは黄色っぽく写るんですよね。フィギュア撮影におすすめ!正確な色を再現できる「X-rite ColorChecker Passport」を読んでもらえると分かるのですが、ホワイトバランスを調整しても、必ず自分のイメージした色より黄色っぽく写ります。解決策は、RAWファイルで保存して自分で現像することなのですが、普段レタッチをしない方には面倒な作業になります(僕は基本的にRAWファイルで保存して現像していたので気になりませんでしたが)。
何が言いたいかというと、僕の写真の色はNikonだから出せる色ではなく、現像ソフトによるものだってことです。それが理由で、僕は「Canon」か「Sony」に乗り換える予定です。
カメラは高価な買物になりますから、レビューサイトをたくさん覗いて、皆がどんなカメラとレンズを使っているのか研究してから、購入されることをお勧めします。僕もそうでしたが、自分の気に入った写真を撮られている方の機材を参考にするのが一番です。
あまりお役に立てず申し訳ありません。
はじめまして、まどかのフィギュアで使われている背景紙は何というものになりますでしょうか?
まどかに使っている背景紙は「アトモス ぼたん」になります。
僕は銀一で購入したのですが、画材販売.jpでも同じものが販売されています。サイズは「788mm × 1,091mm」、レザックに比べると少し薄めで、価格は一枚500円前後になります(+送料)。
恐らく、Amazonや楽天市場では、背景紙サイズの大きさは販売されていません。
返信ありがとうございます!
早速購入しまして届くのが楽しみです。
とても参考になるブログを書いてくださってありがとうございました!
貴重な撮影方法を教えて頂き有り難う御座いました。
質問させて頂きます。東芝(LDA9N-D-G)LED電球の色温度のケルビンはいくつでしょうか。
教えて頂ければ幸いです。
色温度は昼白色の「5000k」、平均演色評価数は「Ra:90」です。LEDは蛍光灯より「点灯直後から明るい」「熱を持ちにくい」のがメリットで、「少し暗い」のがデメリットです。
早速の御回答有り難う御座いました。アマゾンで購入致します。
商品撮影で今回大変役立ちもっと勉強したくなりました。近くのブックオフで「これからはじめる商品撮影の教科書」を見つけパラパラめっくっているとよく似た写真が出てきました。早速購入して熟読しています。もし間違いでしたらお許し下さい。御礼の言葉とさせて頂きます。
フィギュア撮影の楽しさを共感して頂けただけでも凄くうれしいです。
ちなみに、僕も何冊か書籍は読みましたが、それ以上にフィギュアレビューサイトから学んだことの方が多いです。特に下記のサイトからはたくさんのことを勉強させて頂きました。
フィギュア撮影を学びたい方必見!?参考書籍より参考になるレビューサイト!
後は自分流にアレンジして今のお気に入りのライティングパターンがあるといった感じです。
最近はストロボ撮影も行っているのですが、照明以外の機材(背景紙・レフ版・ディフューザー等)は全て使い回しできるので、本気で撮影したい方はある程度機材を揃えておくことも重要だと思います。