父が脳梗塞で倒れてからリハビリ病棟を退院するまでに僕が行った手続きをまとめています。
入院費用
入院費用を気にされる方が多いと思うので最初に書いておきますが、個室の差額ベット室を利用していた父は、114日間入院して(一般病棟19日間+リハビリ病棟96日間)、最終的な自己負担額は「570,093円」でした(一般病室を利用していたなら、最終的な自己負担額は「300,000円」前後です)。
入院期間 | 窓口負担合計 | 高額療養費の還付 | 自己負担額 |
---|---|---|---|
114日 | 791,978円 | 221,885円 | 570,093円 |
※窓口負担は限度額適用認定証(区分【ウ】)を利用
入院費用の最終的な自己負担額は、「限度額適用認定証の所得区分」「差額ベット室の利用有無」「入院期間」にも影響されますが、数ヵ月入院すると数十万円はかかります。
とは言え、誰でも利用できる「限度額適用認定証」と「高額療養費」と呼ばれる制度があるので、「年間所得が901万円を超えている」及び「保険適用外の高額差額ベッド室を利用」でもしない限り、100万円以上の高額入院費用がかかることはまずありません。
一般病棟(急性期)
限度額適用認定証の申請
限度額適用認定証を利用すれば、窓口負担を大幅に減らすことができます。
高額療養費の申請でも、払いすぎた分は約3ヵ月後に還付されるので、最終的な自己負担額は変わりませんが、高額療養費の申請では、支払い時に3割負担の費用を用意しなければいけません。
ひと月の入院費だけで数十万円の差がでますから、立て替える余裕のない方は、限度額適用認定証の発行手続きをして(申請場所は加入している保険によって異なる)、病院の窓口に提出して下さい。
70歳以上の方は基本的に申請不要ですが、住民税非課税等の低所得者は申請が必要です。
手続きは家族の方でもできます。入院が決まったら早めに申請して病院の窓口に提出して下さい(マイナンバーカードの健康保険証利用なら限度額適用認定証の準備は不要)。




転院先のリハビリテーション病棟を決める
後遺症が残っている方は、2ヵ月以内にリハビリテーション病棟に転院することになります。
医療ソーシャルワーカーから、リハビリテーション病棟のリストを渡され、転院の説明があると思いますが、転院先のリハビリテーション病棟は、患者と家族で決めなければいけません。
これから数ヶ月お世話になる病院です。妥協せず、「自宅からの距離」「スタッフの人数」「1日のリハビリ時間」「個室(差額ベッド室)の有無」等を調べ、必要なら見学して決めて下さい。
この際、面談日や病室の空き等の都合で、転院の許可が出てもすぐに転院できない可能性があります。家族の方はできるだけ早め早めに行動して、必要な手続きを済ませて下さい。
また、転院が決まったら介護タクシーの予約手続きも忘れないで下さい。


リハビリテーション病棟(回復期)
要介護認定の申請
リハビリテーション病棟入院中に後遺症が残っている方は、要介護認定の申請を行います。
申請時期は病院スタッフから説明されると思いますが、どんなに遅くても「退院40~50日前」までには申請して下さい(申請してから結果が出るまでに約30日かかるため)。
申請が遅れると、ケアマネの契約や介護保険を利用した住宅改修が遅れてしまいます。

ケアマネジャー(ケアマネ)を決める
ケアマネジャーは、「リハビリテーション病棟退院前(遅くても10日以上前)」に決めて下さい。
要介護認定申請後なら、結果が出る前でもケアマネジャーと契約することはできます。
本来、介護保険はリハビリテーション病棟退院後からしか使えないのですが、退院後に必要な福祉用具の貸与・購入と住宅改修には使うことができます。また、入院中にケアマネを決めておかなければ、退院後すぐに介護サービスを利用することができません。
時期がこれば、病院スタッフから居宅介護支援事業所のリストを渡されますから、「所在地」「所属するケアマネの人数」「事業所の併設状況」を参考に、居宅介護支援事業所(要支援は地域包括支援センター)に連絡して下さい。後日、ケアマネと面談して契約します。お金は一切かかりません。
介護保険施設へ入所される場合は、その施設のケアマネジャーと契約します。
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必要な福祉用具の貸与・購入と住宅改修の契約
在宅復帰する場合は、福祉用具の貸与・購入と住宅改修が必要になる可能性があります。
この際、ケアマネの申請も必要になりますから、事前にケアマネと契約しておかなければいけません。
基本的には、「病院スタッフ等が自宅を下見 ⇒ 必要なものを話し合う ⇒ 見積 ⇒ 契約 ⇒ ケアマネが市に申請 ⇒ 工事・福祉用具の搬入」といった流れになりますが、工事着工許可は申請書提出日から10日程度を要するので(工事は許可が下りてからしか着工できない)、遅くても退院10日以上前には住宅改修の契約をして下さい。



退院後(維持期)
身体障害者手帳の発行手続き
脳梗塞で後遺症が残った方は、発症から6ヵ月後に「身体障害者手帳」の交付申請ができます。
認定を受ければ、医療費の助成や税金の控除・免税等、様々なサービスを受けることができます。


確定申告(医療費控除)
退院後になるとは限りませんが、年間(1月1日~12月31日まで)の医療費が10万円を超えた場合、確定申告(2月16日~3月15日)で医療費控除を受けることができます。
所得から医療費を差し引いて税金を軽減できる制度です。

最後に
入院中の患者にはできないことがたくさんありますから、必要な手続きは家族の方が代わりに行って下さい。家族がやるべきことは、患者がリハビリに専念できる様に全力でサポートすることです。
最後に、要介護認定の申請をしてケアマネと契約すれば、その後はケアマネが強い味方になってサポートしてくれます。分からないことは、知識と経験が豊富なケアマネに相談して下さい。
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