【フィギュア撮影】ホワイトバランスの設定

フィギュア撮影とホワイトバランスの設定

フィギュアを撮影する時のホワイトバランスの設定についてまとめています。

目次

ホワイトバランス

ホワイトバランスは、カメラで白いものを白く写すための色補正機能です。

フィギュア撮影では、グレーカードを使用して正確な色を再現するために調整するのが一般的です。

ホワイトバランスの調整

この際、色温度の異なる光源を使用すると、片側だけ青っぽくなったり、赤っぽくなったり等、正確な色を再現できなくなるので注意して下さい。例えば、定常光の撮影で昼光色と昼白色の電球を混ぜて使用している。部屋の照明を点けたまま撮影している。等の場合は、何かしらの影響を受けている可能性があります。

また、白いものを白く写すことが必ずしも正解という訳ではないので、まずはどんな写真に仕上げたいのかを明確にして下さい。雰囲気を出したい時は、色が被っている方がよしとされるケースもあります。

これから紹介する内容は、正確な色を再現したい方向けです。

ホワイトバランスの設定

ホワイトバランスは、撮影時にカメラ側で設定することもできますが、撮影後にRAW現像で調整する方法がおすすめです。理由はシンプルで、RAW現像ならホワイトバランスの調整は一切劣化を伴わないからです。また、本番と同じ撮影環境でグレーカードを一緒に撮影しておくだけなので、大して手間もかからないからです。

現像ソフトによって操作方法は若干異なりますが、Lightroomの場合は、ホワイトバランス選択スポイトツールを使って、グレーカードのグレー部分をクリックするだけで、自動で色温度と色かぶりが補正されます。

ホワイトバランスの設定

後は、グレーカードを写していない本番カットに補正された値をコピペするだけです。

この際、(僕はレンズの正面に置いていますが)グレーカードはカメラと主光源の角度1/3の方向へ向けるのが正しい置き方です。また、反射率50%のグレーカードを使えば、より正確なホワイトバランスを取得できます。

種類用途
反射率18%のグレーカード露出調整用
反射率50%のグレーカードホワイトバランス調整用
※個人的には誤差の範囲

近年までホワイトバランスを設定するターゲットは白色であるべきという一般的な認識がありました。しかしながら反射率50%程度のライトグレーで設定した方がより効果的で正確であることが分かってきました。

GIN-ICHI(ギンイチ) シルクグレーカードVer.2(A4判)

jpg保存する場合は、カメラの説明書を参考に撮影時にマニュアルでホワイトバランスを取得して下さい。

カメラによって操作方法は異なりますが、本番と同じ撮影環境で、中央付近にホワイトバランスの基準となるものを写すだけでいい機種もあれば、画面一杯に写さなければいけない機種もあります。

背景紙がホワイトバランスに与える影響

ホワイトバランスは、光源だけでなく背景紙の影響も強く受けます。

例えば、ウーペブラックの様な床面からの色かぶりがほとんど発生しない背景紙では、ホワイトバランスはオート(AWB)でもそこまで大きなずれは発生しません。また、ホワイトバランスも綺麗に補正できます。

反射率50%グレーで調整
反射率50%グレーで調整
反射率50%グレーで調整
ホワイトバランスオート
ホワイトバランスオート
ホワイトバランス色温度色かぶり補正
AWB49506
反射率18%グレー48002
反射率50%グレー48004
45005
※Lightroomで調整した時の値

ですが、レザックスカイの様な床面からの色かぶりが目立つ背景紙では、AWBとグレーカードで調整した値に大きなずれが生じることがあります。また、床面に近いほど色かぶりした反射光の影響を強く受けるため、グレーカードを使っても、完璧に補正できないことがあります。

反射率50%グレーで調整
反射率50%グレーで調整
反射率50%グレーで調整
ホワイトバランスオート
ホワイトバランスオート
ホワイトバランス色温度色かぶり補正
AWB630057
反射率18%グレー49509
反射率50%グレー500010
465011
※Lightroomで調整した時の値

例えば、下記の様なケースでは、床面付近でホワイトバランスを取得すると、上の方が少し黄色っぽくなり、床面から離れた上の方でホワイトバランスを取得すると、下の方が青っぽくなります。

少しイメージしづらいかもしれませんが、床面からの(色かぶりした)反射光の影響で、上下のホワイトバランスがずれているのが原因です。色温度の異なる光源を使用して撮影した時と同じ様な現象が起きます。

ホワイトバランスと背景紙の影響

色かぶりが目立つ蛍光色の背景紙を使う時は注意が必要です(個人的にはあまりおすすめしない)。

最後に

フィギュア撮影でホワイトバランスを調整する時は、下記のポイントを意識してみて下さい。

ポイント
  • 光源の色温度を統一する
  • 反射率50%のグレーカードでホワイトバランスを取得する
  • 正確な色を再現したいなら色かぶりの目立つ背景紙は使わない

AWBでも綺麗に撮れるケースは多々ありますが、より正確な色を再現したいのであれば、グレーカードを使ってホワイトバランスを取得して下さい。また、ホワイトバランスの調整に時間をかけている方、手動で調整して迷走している方は、グレーカードで取得した値から微調整した方が圧倒的に楽だと思います。

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この記事を書いた人

2024年も気づいたら11月。今更だけど、情報を伝えるのにブログである必要はないのかもしれない。自分のルールで管理できるメリットを除けば、今はブログに拘るメリットは何もない。YouTubeやSNSを使った方が間違いなく多くの人に情報を伝えられる。また近々コアアップデートが予定されているみたいだけど、このままGoogle検索を頼りにブログ運営を続けてもアクセスや収益が伸びることはない気がする。いい加減新しく何か始めないといけないのかもしれない。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • Scofieldさま、長文失礼します。それほどの価値をもつ記事と思いました。

    私がasahiwa.jpの撮影講座などでちょっとだけ言及しつつ、しかし独立記事レベルではずっと避けていた、興味深い内容ですね。面倒というのもありますが。

    色再現というより演色面の正確性を追求すれば、fig-memoさんや活動休止したtoynaviさんみたいに黒背景にするしかありません。モノクロ系の白~灰系統ですら反射による色かぶりは避けられませんし。
    PVCの肌再現が塗装職人に劣ってる以上、実際にネットで受ける(支持されやすい)フィギュア写真は、おしなべて肌色PVCの発色が意図的に盛られ、それぞれのキャラのイメージを反映した理想の血色になってます。

    この時点で理想は現実の前に崩れました。結局は人間の感性の領域が正確性に勝ってしまうと。だからこそデコマス職人はその心に訴えかける色再現性によって金を貰えるわけで。
    うちのアクセスが大幅に伸び始めたのも、色の正しい再現を放棄して以降です。撮影講座を書いていた2017年前後のざっと2倍のアクセスがいまはありますが、方針転換で正しいPVC色の再現をあきらめ、肌色に血色を与えるようになってから伸びましたね。高演色LEDやカラーチェッカーを本格使用したときも1.5倍ほど伸張しましたが、PVCはどこまでもPVCにすぎないがゆえ、すぐ頭打ちになりました。
    講座あるいは機材レビューのほうでも正確な色は自分が求める最終出力のベースにするみたいに書いてた気がします。萌えフィギュアレビューがたくさんの人に見てもらえる最大の助けは、イラストレーターやアニメーターの魅力的なカラーへ、いかに近づけるか。そのスタート地点の色として、カラーチェッカーによって光源の不足色(LEDだとおおむね青過多で赤不足)を均し、自分の思うところの色を盛りやすくする、といったところ。

    あくまで方法のひとつというだけで、元々肌色発色に定評のあるキヤノンだとカラーチェッカー使わないほうが透明感ある肌色に調整しやすそうです。私が使ってるニコンは一時期キヤノンへ寄せましたが、またもや黄色いニコンに戻ってますので、チェッカーで補正してから、さらに求める色に――となります。
    もっとも赤を盛るだけですが。その辺りのホワイトバランス用調色用マーカーは、たしかカラーチェッカーにもあった気がします。山や森林や雪などの照り返しを補正するターゲットを用いれば、肌色の補正を勘に頼らず定量的に行えます。とはいえ限度もあり、私は半年~1年ほどで使わなくなりました。いまは100%勘ですね。そのままの色で使うことは滅多にありません。露出すら操作します。この辺りはスマホ等で写してる少なからずの人が日常的に行ってると思います。

    元々、写真は発祥の地、欧州において英語でPhotograph、すなわち「光画」と表記されます。光による絵ですから、ヨーロッパの写真は最初から加工お構いなしでした。むしろ江戸末期から明治初期の日本の写真は……なんか汚れとかアラとかみんなそのまんまで、ヨーロッパの同時期のキレイキレイな写真と比べてなんか地味で汚いですし。そりゃ一切手をつけず直してませんから、ムラもありアラもあり汚れている。そこに資料価値はあっても、美しさはありません。

    日本語訳の「写真」に引っ張られて、かえって遠回りはしないほうが良さそうです。人間は命や損得、体面に名誉などが関わる場合を除いて、基本は動物的な感覚や好き嫌いによって物事を判断しがちです。それは根本的に正しさより興味深いか、面白いかでしょうけど、PVC萌えフィギュアでは「美しさ」でしょうね。ほぼ100%、感情や心の領域でしょう。極限すれば、正しさなど不要。そもそも元となるキャラやデザインすら現実には滅多にいない、あるいは絶対に存在しえない、架空の理想像なのですから。

    長文失礼しました。

    • コメントありがとうございます。

      あさひわさんのおっしゃる通りです。僕も最初の頃は、"フィギュア撮影は正しい色を再現しなければいけない"とか、"ライティングはこうでなければいけない"という固定観念にとらわれていたのですが、今では自分がイメージする"かわいく"だったり、"かっこよく"写すのがベストだと思っています。そして、その過程で正しいホワイトバランスの調整方法は知っておくべきだと思っています。

      AWBでは極端にずれる可能性があるので、ゼロから調整するよりも、ベースとなる正しいホワイトバランの値から調整した方が(個人的には)圧倒的にやりやすいからです。

      また、シンプルに"フィギュアをどう見せたいのか?"だと思いますが、フィギュア撮影では「正しさ」よりも「美しさ」にも同意です。いくら正確な色やホワイトバランスを再現しても、イメージ通りの色が出るとは限らないですし、写真を見た人が綺麗だと思うかどうかは別問題だからです。

      最終的には、自分の好みの色や明るさに仕上げていくのが一番だと思います。

      あさひわさんのサイトにはたくさんのことを学ばせて頂いています。フィギュア撮影のことで踏み込んだ内容を書いてくれている方はほとんどいないので本当に感謝しています。

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