今年一番はまった被写体「工場夜景」の撮り方について学んだことをまとめておきます。
Contents
カメラの設定
工場夜景はレリーズと三脚を使って、低ISO感度の長秒露光が基本です。
ISO感度

工場夜景はRAW現像する時に露光量やハイライトを大幅に調整することが多いので、ISO感度は画質が綺麗(ノイズが少ない)&レタッチ耐性が強い「ISO100」推奨です。
F値(絞り値)

F値は絞れば絞るほど(大きくするほど)光芒の形がくっきり出ます。
但し、絞れば絞るほどゴーストが発生しやすく、シャッタースピードも遅くなります。逆に、F値を開放に近づけすぎても、Lightroomのプロファイル補正だけは補正しきれないぐらい周辺光量が減光します(僕のレンズはF5.6ぐらいが境目)。絞りすぎだけでなく、開きすぎにも注意が必要です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
開く(小さくする) |
|
|
絞る(大きくする) |
|
|
シャッタースピード(露光時間)

シャッタースピードの設定は、露光中に動く可能性のある被写体全てに影響を及ぼします。
例えば、煙や雲は露光時間が長いほどディテールが失われて流れている様に写ります。ディテールをはっきりさせたい時は、露光時間を短くする必要があります。また、星が出ている時は、シャッタースピード10~15秒を超えると、星が点ではなく線になってしまいます。
他にも、漁船は風や水面の揺れで動く可能性があるので、露光時間が長くなるほど被写体ブレする可能性が高くなります(天候の影響が一番大きい)。草木も同様です。特に、前景に写っている物が被写体ブレしていると目を引いてしまうので注意が必要です。
水面は露光時間が長いほどなめらかに写ります。逆に、リフレクションは露光時間が短いほどくっきり写る可能性が高くなります(露光中に水面が揺れて被写体ブレする可能性があるため)。
また、車が通過すれば、ヘッドライトやテールランプが光跡として残ります。
シャッタースピードに正解はないので、現地で試行錯誤して下さい。
ピント(フォーカスエリア)

ピント合わせは、シングルスポットのオートフォーカスを使います(SONYはシングルスポットですが、他社はエリアAF等名称が異なります)。無理にマニュアルフォーカスを使う必要はありません。
この際、煙、照明、極端に暗い部分は避け、できるだけ明るい部分でピントを合わせます。また、シャッターを切る前に一度半押しでピントが合うか確認しておくことをおすすめします(AFでピントを合わせてからMFに切り替える方法もおすすめ)。
カメラの設定が液晶やファインダーに反映されるEVF機は、F値を開放にする及び露出補正をプラスにしておくと、構図が決めやすくなりますし、ゴーストの発生も分かりやすくなります。
但し、撮影する時に設定を戻すのを忘れないで下さい。
手ブレ補正

三脚を使って長秒露光する時は、誤作動を防ぐために手ブレ補正機能をオフにします。
SONYの場合、手ブレ補正機能がついているレンズは、レンズ側で手ブレ補正機能をオフにします。手ブレ補正機能がついていないレンズは、ボディ側で手ブレ補正機能をオフにします。
ちなみに、僕はよく手ブレ補正機能をオンにしたまま撮影してしまうのですが(最初に確認しておけ!と撮影前の自分に言ってあげたい)、ブレた写真を量産したことはありません。撮影後に毎回確認しているのもありますが、手振れ補正機能がオンになっていても失敗する確率は低い気がします。
ただ、誤作動が起こる可能性がある以上、手ブレ補正機能は必ずオフにしておくべきです。
ノイズリダレクション

個人的には、ノイズリダレクション(長秒時NR)機能はオフ推奨です。
ノイズリダレクションをオンにしていると、シャッタースピードと同じ時間だけ除去する時間がかかります。僕の場合は30秒露光が多いので、1回シャッターを切るのに1分もかかります。
僕はノイズリダレクションをオフにしていますが、特にノイズが気になったことはありません。
適正露出について
好みの問題もあると思いますが、ディテールまでしっかり解像させたいのであれば、適正露出よりも暗めに撮影して、RAW現像で適正露出まで露光量を上げる方法がおすすめです。
一見無意味なことをしている様にも見えますが、違いは下記の写真を比較してもらえば分かると思います。左はカメラの適正露出で撮影した写真、右は-3EVで撮影してRAW現像で露光量を+3.00に調整した写真です。ハイライトやシャドウもいじっていますが、露光量以外は全て同じ調整です。
100 | ISO感度 | 100 |
---|---|---|
11 | F値 | 11 |
30秒 | SS | 4秒 |
露光量±0 | RAW現像 | 露光量+3.00 |
注目してほしいのは、照明が当たっているプラント表面の白飛び部分なのですが、適正露出で撮影した写真は、RAW現像でどれだけ露光量やハイライト、白レベルを下げてもディテールは戻ってきません。その点、-3EVで撮影した写真は、照明の形も分かるぐらいディテールがはっきりしています。ハイライトの下げ幅を減らせば、適正露出で撮影した時と同じ様に白飛びさせることもできます。
暗めに撮影する理由は、RAW現像した時にレタッチ方法の選択肢が増えるからです。
但し、この方法にも欠点はあります。後からRAW現像で大幅に露光量を上げることになるので、その分ノイズが増えます。カメラの性能にも左右されると思いますが、僕が使っているα7R2の場合、-1~-2EVならノイズは気になりませんが(あくまで個人的な判断)、-3EVまでいくとノイズが気になるので、必要ならHDR合成を使うようにしています。
フィルターの影響について
下記の写真はゴーストが分かりやすい様に明るくしてみました。

僕もずっと気づかずに撮影していたのですが、純正の保護フィルターが付いているだけでもゴースト発生率は上がります(体感では1~2割)。また、星景・夜景撮影用の光害カットフィルタースターリーナイトを付けて撮影した場合は、何も付けない時に比べて倍ぐらいゴーストが発生します。
もちろん、レンズの性能、撮影場所、照明の強さ、フレーム内での位置にも影響しますが、あまりにもゴーストが気になる時はフィルターを疑ってみて下さい。特に、スターリーナイトの様な特殊なフィルターを付けている場合は、フィルターが原因の可能性が高いです。
最後に
僕自身もまだまだ学ぶことばかりなのですが、「工場夜景を撮りに行ったけど自分の思う様に撮れなかった」という方は、今回紹介した僕の失敗と原因を参考にしてみて下さい。
ちなみに、最初は露出で悩む可能性が高いので、少し時間はかかってしまいますが、ブラケット撮影を使って異なる露出で数枚撮影しておくことをおすすめします。

最近のコメント