脳梗塞で入院した年の医療費控除と確定申告の手続きについてまとめています。
医療費控除対象額の計算方法
対象期間は1月1日から12月31日までの一年間、最高200万円の控除を受けることができます。
（実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補てんされる金額） - 10万円
基本的に年間の医療費が10万円を超えた時に受けられる減税制度です。
この際、年間の総所得金額が200万円未満の方は、10万円の代わりに「総所得金額等の5%」の金額を差し引きます。年間の医療費が10万円未満でも医療費控除の対象となる可能性があります。
少し分かりにくいので、大事なポイントを押さえてみます。
- 窓口負担が全て医療費控除の対象となる訳ではない
- 高額療養費で払い戻された金額を差し引く必要がある
- 医療費控除の対象外（差額ベット代や診断書等）を差し引く必要がある
- 生命保険等で給付金を受け取った場合はその金額を差し引く必要がある
- 給付金はその給付の目的となった医療費からのみ差し引く
- 入院前及び退院後の通院や介護サービスの一部も医療費控除の対象となる
例えば、脳梗塞で入院した父の場合、入院中の窓口負担の合計は「791,978円」でした。
ですが、実際に支払った医療費の合計は、高額療養費で払い戻された「221,885円」と医療費控除の対象外（差額ベッド代等）「287,228円」を差し引いた金額「282,865円」です。
また、保険金などで補てんされる金額は、加入していた保険会社から、入院給付金を1日あたり1万円受け取っていたので、「1,140,000円」でした。
（282,865 - 1,140,000） - 100,000 = -957,135
結果、入院中の医療費は全て医療費控除の対象外となりました。
この際、給付金はその給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きする決まりがあるので、他の通院や介護サービスにかかった費用は別途計算することができます。
今回は入院給付金として受け取ったので、入院前と退院後の通院にかかった医療費には影響しません。
ただ、父は10月に退院してから2回しか通院しておらず、入院前もほとんど病院にかかっていなかったので、介護サービス（訪問リハ）にかかった費用と合算しても医療費は10万円未満でした。そのため、医療費控除の対象とはならず、確定申告をする必要はありませんでした。
医療費控除の対象額は、任意で加入している保険から給付金を受け取っているか？で大きく変わります。
高額療養費と医療費控除
高額療養費は自己負担限度額を超えた医療費を払い戻す制度、医療費控除は税金を軽減する制度です。
どちらも多額の医療費を支払った場合の負担を軽減するために設けられた制度ですが、対象が若干異なります。
高額療養費の対象外でも、医療費控除の対象になる費用があります。
| 高額療養費 | 医療費控除 | |
|---|---|---|
| 入院中の医療費 | 〇 | 〇 |
| 入院中に購入したリハビリ装具 | 〇 | 〇 |
| 入院中の食事代 | × | 〇 |
| 転院時の介護タクシー代 | × | 〇 |
| 差額ベッド代（本人希望） | × | × |
| 寝巻きや洗面具代（身の回り品） | × | × |
| テレビや冷蔵庫のプリペイドカード | × | × |
| 給付金を受け取るための診断書 | × | × |
| 家族が見舞いに行く時にかかる交通費 | × | × |
また、退院後に利用する介護サービスにも医療費控除は適用されます（一部除く）。
- 訪問看護
- 介護予防訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導（医師等による管理・指導）
- 介護予防居宅療養管理指導
- 通所リハビリテーション（医療機関でのデイサービス）
- 介護予防通所リハビリテーション
- 短期入所療養介護（ショートステイ）
- 介護予防短期入所療養介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護（一体型事業所で訪問看護を利用する場合に限る）
- 看護・小規模多機能型居宅介護（上記の居宅サービスを含む組合せにより提供されるもの）
最後に
父は任意で加入していた保険会社から給付金を受け取っていたので、医療費控除の対象とはならず、確定申告をする必要はなかったのですが、脳梗塞で長期入院した場合、任意保険に加入していない方は、ほぼ間違いなく医療費控除の対象になるので、忘れずに確定申告を行って下さい。
もし分からないことがあれば、所轄の税務署に問い合わせて下さい。
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