フィギュア撮影における「ISO感度」「F値」「シャッタースピード」の特性と露出の関係をまとめています。
コンデジは一部の高級機を除いて「F値」と「シャッタースピード(SS)」を任意に調整できません。また、この記事は定常光を使った撮影の解説になります。ストロボ撮影では、シャッタースピードで露出を調整する概念が異なるので注意して下さい。
ISO感度はカメラの最小値
ISO感度は、デジタルカメラが光をとらえる能力を表す値のことです。
左はISO感度100、右はISO感度5000で撮影しました。
カメラの設定 | 左の写真 | 右の写真 |
---|---|---|
ISO感度 | 100 | 5000 |
F値 | 8.0 | 8.0 |
SS | 1.0 | 1/80 |
ISO感度を上げると写真は明るくなりますが、上げれば上げるほどノイズ(ざらつき)が発生します。
三脚でカメラを固定しているフィギュア撮影では、ISO感度を上げるメリットはありません。シャッタースピードで露出を調整できるので、ISO感度は最小値(常用ISO感度の最小値)に設定して下さい。
一番綺麗な画質で撮影できます。
ISO感度は、動いている物や暗い場所で撮影する際、シャッタースピードを速くして「被写体ブレ」や「手ブレ」を防ぐために調整するのが一般的です。
F値でピントの合う範囲を決める
F値(絞り値)は、レンズを通って撮像素子上に写る像の明るさのことです。
左はF2.8、右はF16で撮影しました。
カメラの設定 | 左の写真 | 右の写真 |
---|---|---|
ISO感度 | 100 | 100 |
F値 | 2.8 | 16 |
SS | 1/5 | 5.0 |
F値を小さくするとピントの合う範囲は狭く、F値を大きくするとピントの合う範囲は広くなります。
また、F値を小さくすると明るく、F値を大きくすると暗くなります。
フィギュア撮影では、シャッタースピードで自由に露出を調整できるので、露出は気にせず、ピントの合う範囲だけでF値を決めて下さい。ピントの合う範囲は撮影後に調整できません。
カメラやレンズにもよりますが、全体像を撮影する時はF8を基準に調整すると、フィギュア全体にピントが合う&背景が若干ボケるぐらいになります。また、一番綺麗に解像します。
F値を大きくしすぎると回析現象(解像度が落ちシャープ感が損なわれる)が起こるので注意して下さい。僕はフィギュア撮影でF16以上は使わない様にしています。
シャッタースピードで露出を調整
シャッタースピード(SS)は、シャッター幕を開けている時間のことです。
左はシャッタースピード1.0秒、右はシャッタースピード0.4秒で撮影しました。
カメラの設定 | 左の写真 | 右の写真 |
---|---|---|
ISO感度 | 100 | 100 |
F値 | 8.0 | 8.0 |
SS | 1.0 | 1/2.5 |
シャッタースピードを遅くすると明るく、速くすると暗くなります。
静止した被写体を撮影するフィギュア撮影では、(三脚を使えば)被写体ブレが起きることはないので、シャッタースピードは自由に調整できます。全体的に明るい及び暗いと感じる時は、光源を減らしたり、追加する前に、シャッタースピードで被写体が適正露出になる様に調整してみて下さい。
シャッタースピードは、「被写体ブレ」や「手ブレ」を防ぐために速くする以外にも、夜景撮影や滝の流れの様な動きを表現したい時に遅くすることがあります。
ISO感度・F値・SSと露出の関係
露出(写真の明るさ)は、「ISO感度」「絞り値」「シャッタースピード(SS)」の3つの値で決まります。
定常光で撮影する時は、どれか1つを変更すると必ず露出も変化します。
カメラの設定 | 小さくする | 大きくする |
---|---|---|
ISO感度 | 暗くなる | 明るくなる |
F値 | 明るくなる | 暗くなる |
SS | 暗くなる | 明るくなる |
例えば、F値を大きくすると、ピントの合う範囲は広くなりますが、暗くなります。同じ露出を維持するには、ISO感度を上げる及びシャッタースピードを遅くしなければいけません。
定常光を使ったフィギュア撮影では、ISO感度を(常用ISO感度の)最小値、F値は任意の値、最後にシャッタースピードで露出を調整するのが基本です。
最後に
フィギュアを撮影する時にカメラの設定で迷った時は、下記のポイントを意識してみて下さい。
- ISO感度をカメラ最小値に設定する
- ピントの合う範囲をF値で調整する
- 露出をシャッタースピードで調整する
後は、カメラの設定を「絞り優先オート」及び「マニュアル」モードにして撮影するだけです。
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